こんにちは、パパサラリーマンのTK(TK@パパサラリーマン)です!
マラソン大会などに出ると、非常に沢山の人がコンプレッションタイツやカーフガード(ふくらはぎのサポーター)を履いていることに気づくと思います。
中には「脚を出すのが恥ずかしいから…」という人もいるかとは思いますが、別名が『機能性タイツ』と言うくらいだから、きっと効果があるはず!
そこで今回はそんなコンプレッションタイツについて、メーカーの宣伝文句にとらわれず、研究成果ベースで調べ直してみました。
その結果わかったことは、
- 種目によってはパフォーマンスに影響がないという研究もある
- 筋肉のブレを抑える効果がある
- リカバリーとして効果あり
以上のようになっていました。
今回の参考図書
目次
コンプレッションタイツの効果
コンプレッションタイツに期待される生理的効果は以下のようなものになります。
- 静脈の拡大
- 表面の静脈から深部の静脈へと導かれることにより代謝物質の除去能力が改善する
- 毛細血管から静脈へ過剰な体液が送られる
→むくみの防止 - 筋ポンプの効率が改善する
- 衝撃による筋肉の振動が軽減される
→筋肉の動員パターンが最適化される
もともとは医療用機器として加齢や持病で機能低下した静脈系、術後に衰弱した心血管系をサポートするために開発されたものです。
よって、効果としても血流の改善に関わるものが多いですね!
5番の振動が軽減されるというのはむしろ副産物のようにも見えます。
実は医療用(リカバリー用)とスポーツ用では圧力の分布が違う
コンプレッションタイツはもともと医療用だったものを筋骨格系・心血管系への効果を期待してスポーツに応用しています。
これら2種類の製品では、実は圧力の分布が異なっています。
- 医療用 :足首側が一番圧力が強く、膝に近づくと徐々に弱くなる
- スポーツ用:ふくらはぎで強く、足首側と膝側で弱くなる
また、メーカーに寄っては『リカバリー用』と表記された製品もあります。
COMPRESSPORTのリカバリー用ソックスの圧力分布を見てみると医療用と同じく足首側が一番高くなっていました。
運動用を持っていて、リカバリーの時や飛行機・車での長時間移動にも同じものを付けているという人は多いのではないでしょうか?
運動時と同じものを着けるのではなく、それぞれ準備したほうが良さそうですね!
SKINSからはリカバリーモデルとしてロングタイツ・ロングシャツが『エリート』『スリープ』の2種類出ています。こちらは圧力分布は見つかりませんでした。
コンプレッションタイツのパフォーマンスへの影響
いくつかのスポーツにおいて、コンプレッション製品によるパフォーマンスへの影響研究がされています。
1.影響がなかったとする研究
DuffieldとPortus(2007)の研究で、クリケット選手を対象とし、
- 投擲能力(最大距離・正確さ)において顕著な差は無し
- 3分おきに20mのスプリントを繰り返しても顕著な差は無し
- その他、血中乳酸、pH、疲労感も顕著な差は無し
と報告されています。
ちなみにクリケットとはバットとボールを使い、野球のようにピッチャー・キャッチャー・野手の守備と、バッターが攻撃という構成の球技。
日本ではあまり見かけないけど、世界の競技人口は球技の中でトップ3に入ると言われるくらいメジャーらしい。
同様の報告
別の研究チームから、自転車競技、チームスポーツ、トレッドミルランニングでも同様の結果が報告されています。
ただし、自転車競技の研究データを見ると、
- 足首 :20mmHg
- ふくらはぎ:17mmHg
- 大腿部 :15mmHg
- 臀部 : 9mmHg
となっており、足首側に行くほど着圧が強くなっています。
これはCompressportで言うところのリカバリー型の圧力分布になります。
SKINSの商品紹介でも『静止状態でなく動いている時に最適化されるように圧力の分布を設計した』とありました。
足首側で圧力が一番高くなるのは運動時は静脈の流れを妨げる場合もあるとされていたので、最新の運動用コンプレッション商品だともう少し違う可能性もあります。
2.影響があったとする研究
一方で、Aliら(2007)は5km×2本でコンプレッションソックス(足首:20mmHg、ふくらはぎ:8mmHg)を着用し、その効果を調査しています。
その結果、タイムが5kmあたり6~9秒程度短縮され、心拍数が平均で1~2下がったとしています。
こちらもリカバリー型の圧力分布ですがパフォーマンスが向上していますね
また、Kemmlerら(2009)の研究でもコンプレッションソックスを着用したトレッドミルランニングで最大酸素摂取力測定を行い、運動時間、有酸素性・無酸素性作業閾値のパフォーマンスの向上が報告されています。
Bringardら(2006)は12km/hのエネルギーコストが低くなり、最大酸素摂取量の80%程度の負荷でもパフォーマンスの向上を確認したとしています。
コンプレッションウェアで効果が出る運動・効果が出ない運動
これらの研究を比較すると、
- 瞬発力・スプリント系では効果的と言えない
- 持久系では一定の効果が見られる
と言えるのではないでしょうか?
パフォーマンスの改善に寄与したのはどの効果なのか
冒頭にコンプレッション製品の効果は血流の改善と筋肉の振動が軽減があると伝えました。
その中でも、筋肉の振動が軽減により、神経筋の伝達が最適化されてエネルギーコストが改善したと見られています。
簡単に言うと、筋肉の無駄な動きが減って発揮したい方向に力を向けられるようになったためと考えられます。
ポンプ効果による血流の改善というより、テーピングなどに近い効果ですね!
つまり、コンプレッションなら何でも良いわけではなく、ランニングに使うならランニング用の筋肉の固定や発揮したい力の向きを意識した製品を取り入れる必要があるということですね!
最初に買ったのはCW-Xのロングタイプ、次が同じくCW-Xの膝下までのタイプでした。ロングタイプのほうがサポート効果ありますが、見た目が膝下までのほうが好みだったので2着目はそちらにしました(^^;
むしろコンプレッション製品はリカバリーに有効である
実は『効果あり』とする研究データは、リカバリーの方がパフォーマンスよりも多くあり、以下のような報告がされています。
- 筋肉痛や疲労感が軽減した
- ラグビーの試合後3日間のリカバリー効果を比較したらただの完全休養よりも効果があった
その一方で、『アイシング、交代浴、練習後の糖質摂取とストレッチなどの方が効果があった』という報告もあるため、やはり機材に頼るのは基本のリカバリーをこなした後で補助的に取り入れると考えたほうが良さそうです。
もう一つの効果、暑さ対策
腕やふくらはぎにつける効果として、筋肉や血流だけでなく、暑さ対策があげられます。
最近は素材も進歩しているため、『何も着ないよりも白色の速乾素材のウェアを着ている方が涼しくなる』というデータもあります。
そこで、黒色が圧倒的に人気なコンプレッションウェア市場ですが、トライアスロンなど暑い時に行うスポーツでは白を選択することで暑さ対策が出来ます。
また、競技中に『水をかける』という行動を取ったことがある人は多いと思います。
水は掛けるだけでも涼しいですが、それが蒸発する時に『気化熱』として熱を奪うため涼しくなります。
つまり、肌に掛けた水は一瞬で下に流れ落ちてしまいますが、コンプレッションウェアで『一度蓄えて蒸発させる』ことで更に涼しくなる効果が得られます。
暑い環境で競技を行う人は、白色のカーフガードやアームクーラーの導入も検討してみましょう!
どちらもフルスーツのウェットスーツが着れるトライアスロンでよく使っています。
フルスーツが使えるなら最初から着ていればいいので問題ないですが、ノンウェットのレースでは濡れていると着にくいので使用していません。
各自のトランジションタイムやレースの暑さに合わせて決めましょう!
まとめ
以上、コンプレッションウェアのパフォーマンスへの影響、リカバリー効果、暑さ対策についてでした。
パフォーマンスの研究結果を見る限り、血流改善というより、筋肉のブレ防止と考えたほうが良さそうです。
また、リカバリーに有効とのデータもありますが、アイシング、交代浴、練習後の糖質摂取とストレッチなどをきちんと実施した上で補助的に取り入れたほうが良さそうです。
もう一つの効果として暑さ対策があるため、白色のウェアを探してみるのもいいでしょう。
医療用と運動用で圧力の分布が違うように、自分の目的にあった製品を使い分けましょう!
参考文献『リカバリーの科学』
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