宮澤選手の『理論でカラダを速くする プロのロードバイク トレーニング』骨で押すペダリングとは?

こんにちは、パパサラリーマンのTK(TK@パパサラリーマン)です!

小柄でパワーも小さいが、日本人トッププロとしてヨーロッパでも走っていた宮澤崇史選手。(2014年に引退し、現在はベルマーレの監督や解説者を務める)
おそらくロードバイクで速くなろうと書籍などをみた人は、一度は目にした名前かと思います。

164cm・61kg(ウィキペディアより)という日本人の中でも小柄な宮澤選手が日本やヨーロッパのトップ選手と戦うために意識した事が記されています。
私のようなパワーばかり鍛えている人は一度読んでみるべきかもしれません…笑

タイトルは「理論でカラダを速くする」とありますが、論理的という感じではありません。(日本語難しい…)
読んでみた感想としては「ロードバイク スキルアップトレーニング」の福田さんと比べると感覚派だなという印象です。

スキルアップトレーニングは深掘りされ細かく分けられたドリルを順番にこなしていくスタイルでしたが、こちらはよくある【ペダリング理論→トレーニングメニュー→実戦テクニック】という構成です。

本書の構成

本書の構成は以下の通り。

  1. 骨で押す
  2. ペダリングの理論
  3. パワーとトレーニングの基礎概念
  4. ポジションとパーツを体から考える
  5. 体を使いこなすメニュー
  6. テクニック

ちなみに6章のテクニックとは、バイクに乗るテクニックではなくロードレースのテクニックになります。
なのでドラフティング禁止レースであるトライアスロンをやっている人にはあまり関係ありませんね…

1.「骨で押す」FTPが低くても勝つためにはどうするか

骨

非常に小柄な宮澤選手ですが、パワーがなくても勝つにはどうしたら良いか?

その答えの1つが『効率』です。
ここでいう効率とは「ペダリングの効率」と「レース全体で効率よく走る」という事です。
パワーとは速さの指標ではなく、資源のようなものなので、無駄遣いしてたら勝てないし必要なところで必要な分だけ分配するという事ですね。
同じスピードならパワーは低い方が筋疲労が少ないですしエネルギーも節約できます。

この「骨で押す」、1章のタイトルになっているだけあって、これだけで10ページくらいかけて説明しているのですが…

これがかなり感覚的な説明です…
(例え話に飛行機をトラックで押す話とか出てくるんですが、非日常過ぎてイメージができません。(^^;)
おそらく、簡単にいうと、

「無駄に筋力を使うんじゃなくて体の重さをうまく使ってね」

ということかと思います。
それを『スネにの骨に体重を乗せるイメージ→骨で押す』という感覚なのかなぁと…
(この辺が論理的より感覚的と言った理由)

2章に2つだけドリルが出てきますが、「段差を登る時、極力筋肉を使わず骨を介して持ち上げる。バランスを崩すと筋肉で支えてしまう」とも記載されています。
骨にうまく体重を乗せる(骨で踏む)ことによって、無駄な筋肉の使用をやめると言うことですね!

2.ペダリングの理論

クランク

ここも著者ごとに意見が分かれるポイントです。笑

ペダリングで使うべき筋肉は?

上記の福田さんのスキルアップトレーニングでは『ペダリングに使う筋肉は単関節筋である大臀筋・腸腰筋が重要』と言うことでしたが、宮澤さんは『多くの筋肉で負荷分散をすることが重要』と言う考え方です。
「負荷を分散した方がレースでの疲労もしにくいし、トレーニングの疲れも局所的にたまらないから回復しやすい」と言うことです。

ではついつい大腿四頭筋などに頼ってしまう場合はどうするか?
本書での対応策はドリルでなくポジションの変更
わざと大腿四頭筋を使いにくいポジションにして他の筋肉を使う感覚を覚えさせると言う方法ですね。

その他、ハンドルに寄りかからないために上半身を支える・脚を上げる意識なども出てきますが、この辺りの話は福田さんのスキルアップトレーニングの方が深掘りされていました。

ペダリングでは何時の位置で力をかけるか

また、ペダリングの力を入れる場所は1時から5時の間とのこと。
竹谷賢二さんのロードバイクの作法では0時から3時だったので、それよりは少し遅めですね。
(とは言ってもホビーレーサーだと1時から5時にすら踏み遅れている人が多いとのことですが…)
これに関しては踏み込む場所が書かれているだけで、ドリルとかは特にないので、ロードバイクの作法を参考にした方が感覚が掴みやすいと思います。

3.パワーとトレーニングの基礎概念

私のようにパワートレーニングばかりゴリゴリやっている人は一度この章に目を通しておいた方が良いかもしれません。笑

パワーは本質ではない

zwiftとかやっていると忘れがちですが、パワーは本質ではないんですよね。

ローラー台を用いたパワートレーニングの良いところ

  • トレーニングを客観的に評価できる
  • 心拍のように体調や気温の影響を受けない
  • 路面状態や風、地形に影響されずトレーニングができる
  • データの成長や評価が楽しい(※人による。笑)

乗り手のパフォーマンス、言うならばエンジンの出力を客観的に評価できるのがパワーメーターです。

でも忘れたらいけないのは、レースのために練習しているのであり、そのレースでは体調・気温・路面状態・風・地形などを全て含めて速さを競うものであると言うことです。

練習では「パワーを出すことに価値がある」のに対して、レースでは「パワーを抑えることに価値がある」というのも重要なポイントです。

TK

私のように「調子が悪い…スピードも落ちている…パワーを上げなきゃ!」とならないようにしましょう。笑

調子が悪い時ほど大切なのは「パワーを上げずにスピードを上げる工夫」ですね!

ローラー台は万能ではないが有効

ローラー台はレースとは違うと言う主張をまとめましたが、プロ選手でももちろんローラー台は有効活用しています。
筆者も東京に住んでいた頃は2日ローラー台(それぞれ2時間半〜3時間)やって1日は実走と言うように、むしろローラー台の方が回数が多いくらいです。

しかし逆に言えば3日に1回は実走
サラリーマンだと平日はローラー台ばかりになる人も多そうですよね…
週末は積極的に出かけましょう!

トレーニングは高強度から入る

練習の最後に追い込みでVO2MAXインターバル…!
そう言う練習も結構やっていましたし、zwiftのメニューでもそのような構成のものは結構多いです。

しかし筆者は「脚がフレッシュなうちに高強度でしっかり出力を出すべき」と言っています。

合宿で考えても、最初2日間に乗り込んで最後にインターバルをやろうとしても、もう出力が出なくなってしまいますよね?
それと同様で、1日の練習の中でも、3日間の合宿の中でも、1週間のスケジュールの中でも、まず短時間・高強度からやるべきとのことです。

TK

私も最近はzwiftの既存メニューをカスタムして、序盤にVO2MAXインターバル、後半にSST強度で構成するようにしています。

気をつけるべきは寒い日にいきなり動き出そうとしないこと。
メニューの中で高強度を序盤に持ってくることと、アップ不足のまま高強度に突入することは別物ですよ!

その他、3章のまとめ

他にも以下のような点についてまとめられています。

  1. 練習は常にレースをイメージする
  2. インターバルでも、グループライドでも、自分の弱点を克服する練習を心がける
  3. パワーが上がった時はその理由を突き止め、さらに鍛える
  4. パワーが出ていても筋疲労で心拍数が変化してしまう
  5. パワーに頼るよりも自分の五感との対話
  6. LSDは有酸素能力の強化ではなくフォームを洗練させるためのもの

この辺りのトレーニング理論について気になる人は一読の価値がありますね!

4.ポジションとパーツを体から考える

TK

バイクのポジション設定って難しいですよね…
前傾で空気抵抗を減らせばいいんじゃないの?

ヨメ

これだから素人は…ヽ(´ー`)

息子

楽なポジションにすれば良いわけではなく、エアロを追求すれば良いわけではなく、ましてやあるポジションにすれば身体が使いやすくなり急に走りやすくなる「パーフェクトポジション」なんてものは存在しません。

バイク設定に体を合わせるのではなく、身体ができたことでバイク設定が変わる

間違えてはいけないのは、

  1. よりエアロなポジションにしたい!
  2. ステムを長くして、ハンドルを下げて、サドルを前に出して…
  3. バイクに合わせたポジションに慣れるように頑張る

と言う流れ。
よくあるやつですね…笑

正しくは、

  1. 体幹を鍛え・関節が柔らかくなり・ペダリングも上手くなった
  2. よりエアロなポジションを取れるように
  3. バイクのポジションを変更しよう!

と言う流れです。
逆に言えば「身体が変われば最適なポジションは変わる」と言うこと。
トレーニングを積んでいれば毎年体は変化するはずなので、それに合わせてポジションも変化させていきましょう!
もっと言えば、同じ年の中でもメインレースの時期になり身体が仕上がってこればポジションもどんどん変化してくるとのこと…

その他、4章のまとめ

他にも以下のような点についてまとめられています。

  1. パーツは全体の「バランス」を見て組み合わせる
  2. レベルによってはセカンドグレードのフレームの方が速いこともある
  3. ホイールは練習用を柔らかく、レース用を硬く
  4. ステムの長さでパワーの出しやすさとバイクコントロールが変わる
  5. ハンドル幅でダンシングのしやすさとスプリントのしやすさが変わる

パーツ毎にトレードオフの関係があるのは興味深いですね!
もっとも、トライアスロンではスプリントはしませんし、ハンドルを振ってダンシングをする人もあまりいないかと思うので、少しパーツ選択の難易度が下がるかもしれません。

5章トレーニングメニュー、6章テクニック

5章ではトレーニングメニューが載っているのですが、強度別の紹介程度です。

  1. スプリント
  2. 6秒インターバル
  3. 20〜40秒インターバル
  4. 1〜3分インターバル
  5. TT走
  6. ハイミディアム走
  7. ミディアム走
  8. ディスタンスペース

これについては下からLSD、テンポ走、SST、FTP、VO2MAXとほぼ同じ意味と思って良いかと思います…

結局重要なのは、前の章にもあった「レースを想定した練習をする」「苦手分野を克服する」と言った目的を持ってメニューを組み立てることですね!

その他、いくつかの補強トレとストレッチも紹介されています。
紹介されているのはランジ・スクワット・デッドリフトなど、やったことがある人も多そうなメニューですが、気をつけるポイントが他の筋トレマニュアルとは少し違ったりします。
ロードバイクのプロの意見として取り入れてみましょう!

テクニックに関しては、ドラフティングや位置どりなど、ロードレース特有のものになるので、トライアスリートはあまり気にしなくても良いかもしれません…

まとめ

最近はzwiftの流行もあって、パワートレーニングを取り入れている人も多いかと思います。
しかし、本書に興味を持った人の大部分の目標は「レースで速く走ること」のはず。

  • パワートレーニングのメリット・デメリット
  • 練習の組み立て方、考え方
  • ポジション変更の考え方

この辺りを勉強したい人にはオススメの本です。

一方で、上半身の使い方やペダリングのスキルについては、福田さんのスキルアップトレーニングの方が論理的で分かりやすくまとめられています。
また、ペダルに荷重をかけるポイントを速くするドリルなどは竹谷さんのロードバイクの作法の方が充実していると感じました。

それぞれの目的・課題に合わせて知識を取り入れていくようにしましょう!

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