【ダニエルズのランニング・フォーミュラ】VDOTで効率的に鍛えるマラソントレーニング!

朝のランニング

こんにちは、パパサラリーマンのTK(TK@パパサラリーマン)です!

マラソンの記録向上をしたいけれど、練習方法がわからない方は多いのではないでしょうか?

  • どれくらいのペースで走るのか?
  • どれくらいの量を走るのか?
  • ジョグって意味あるの?
  • ロング走をやるべき?インターバルをやるべき?

そんな方に、Runner’s World誌において「最高のトレーニング本」と評価された、ダニエルズ式マラソントレーニングの紹介です!
トレーニング計画に関する本を何冊も読んできましたが、この本ほど『レベルごとの設定ペース』『インターバルをこなす本数』『それぞれの練習の意味が明らかにされた本は他にありませんでした!

母校の陸上部にも寄付したいくらい優れた本です。

第3版になって高所トレーニングとトレッドミルが追加され、マラソンの練習プログラムのパターンも増えました!2版を持っている人でもこの辺が気になればぜひ!

目次

ダニエルズ式のコンセプト

まえがきの一部を紹介します。

我々は、パフォーマンスを向上させるベストアプローチだろ思えば何でも試そうとしがちだ。しかし、ベストなアプローチとはつまるところ、いくつかの基本方針に従うことであり、トレーニングを個人のニーズに合わせて調整することであり、そして効果はあるが怪我のリスクの低いトレーニングを処方することである

結局の所、基本法則に則りつつ個人のレベルに合わせて怪我をしない量と強度で実施することが大切ということですね!
分かっていても中々出来ないですよね?
それがこの本を読めば具体的に分かります!

はじめに

今回の紹介では、ダニエルズ式における各トレーニング強度の説明と大雑把な期分けについて説明します。
概要を知りたい時、練習前にスマホで内容を再確認したい時などに使用してください。
以下の章などは省略しています。

  • 1章:成功の必須要素
  • 2章:トレーニングの原理とランニング技術
  • 3章:有酸素性作業能とトレーニングのプロフィール

非常に優れた本なので、ぜひ本書を購入して一通り読んでみてください!

ダニエルズ式のVDOT(ヴイ・ドット)とは

 

ダニエルズ式 マラソントレーニングの種類と強度

ダニエルズ式では、トレーニングを5段階の強度に分類しています。

  1. E(Easy):イージーランニング
  2. M(Marathon):マラソンペースランニング
  3. T(Threshold):閾値ランニング
  4. I(Interval):インターバルトレーニング
  5. R(Repetition):レペティショントレーニング

それぞれのペース設定の基準となるのがVDOTです。
VDOTとは1分間の最大酸素摂取量(Vo2MAX)のことで、各強度のペースの設定基準となります。(VDOTが大きいほど能力が高い)
本書には1500m、3km、5km、10km、ハーフ、マラソンのタイムからVDOTを求めれる表があります。
もしくはRun SMART Projectのサイトにて計算することも出来ます。

どちらにしてもスマホで写真を撮っておいて、いつでも見れるようにすることがおすすめです!

本書がある場合

ダニエルズ式では目標とするレースペース』ではなく『現在の走力から練習のペースを決めます。

よって、できる限り最近のレース結果を使用しましょう。

Run SMART Projectのサイトにて計算する場合

以下のサイトにて計算することが出来ます。

Run SMART Projectのサイト

①記録を入力するレースの距離を選択する

ダニエルズ計算の入力

②「Time」に時間・分・秒を入力する。

この時、半角でないと入力できませんので注意しましょう!
【Calculate】をクリックかエンターで計算され、右上にVDOTの値が出てきます。
Paceはイーブンペースの場合の速さですね!

ダニエルズ式計算結果

③計算結果1 レースのペース

その結果を出したレースが1kmあたり何分何秒だったかがわかります。

計算結果のレースペース

④計算結果2 トレーニングのペース

E、M、T、I、Rをどれくらいのペースで走ればよいかが分かります。
基本的には1kmのペースを見て、Rランニングだけは200m~600mで実施することになるので、それぞれ何秒で走れば良いかも確認しておきましょう。

これを写真で撮っておくといつでも確認できて便利です!

計算結果のトレーニングペース

⑤計算結果3 他の距離のレースの目標タイム

今のVDOT(Vo2MAX)だと、他の距離はこれくらいで走れるはず』と教えてくれます。
初めて走る距離の目標にしてもいいでしょう。

ダニエルズ式計算結果のレースペース

距離によってVDOTが異なる

人によっては『ハーフやマラソンだと50あるのに1500mや3kmだと48しかない』という場合もあるかと思います。
もしくは『オンラインで計算したけどレースの予想タイムより速く走れる距離・遅い距離がある』となるのではないでしょうか?
今回の結果より速く走れる距離は得意分野(もしくはそのレースのときのほうが体力があった)、遅い距離はそのレースのときから成長しているか苦手分野、と考えられます。
VDOTが低い距離に必要な能力が不足している場合、弱点を強化したほうがいいかもしれません。

目標のレースペースで計算してみる

練習は今の走力に従いますが、一度目標のレースペースで計算してみるのも良いでしょう!
そうすると、「フルマラソンを10分あげるためには、5kmを○秒あげる、インターバルの設定が1kmあたり○秒早くなるくらいの走力が必要なのか…」と、目標までのレベル差がよりイメージしやすくなります。

故障やオフシーズン明けのVDOTについて

シーズン最後の大会が終わって数週間休んだり、怪我で何日か走れなかった場合、残念ながら体力は低下してしまいます。
本書では『完全に休んでいた場合』『自転車など足を使った有酸素トレーニングを行っていた場合』について、5日以内~72日以上までVDOTをどのように修正すればいいかの表があります。
例えば完全休養で28日間休んだ場合は0.931倍、怪我で14日休んでいたが自転車のトレーニングは継続した場合は0.986倍、といった具合になっています。
更に、体重の増加でも相対的にVDOTが減少するので、(現在の体重/元の体重)をかければ練習再開時のVDOTとなります。

本書を持っている方は参考にしてみてください!

ダニエルズ式のイージーランニング(Eランニング)とは?

イージーランニング

最大心拍数の65~78%程度で実施する、文字通りイージーなランニングです。
(最大心拍数が180の場合、117~140程度)
重要なのはキレイなフォームを保つことです。
疲労などでフォームが崩れてしまう時は無理に走らないほうが良いこともあります。

一般的に言われる『ジョグ』ですが、心拍140となるとダラダラせずに、気持ち早めくらいのペースになります。

Eランニングの目的

以下の効果が期待できます。

  1. 怪我に対する耐性の向上
  2. 心臓の強化
  3. 毛細血管新生の促進

怪我に対する耐性の向上

ダニエルズ式では、インターバルや閾値走など高強度の練習を実施する量は、トータルの走行距離に比例します。つまり、Eランニングできちんと走り込んで怪我の耐性を向上して置かなければ、インターバルの本数を増やすのはリスクが大きいということです。

心臓の強化

1回の拍動で押し出される血流量は最大心拍数の60%からほとんど変わりません
(もちろん強度を上げれば脈は速くなるけれど、1回の量はそれほど変わらない)
そこで、Eランニングのペースでしっかり走り込んで心臓を鍛えることが重要になります。

最近の研究では、世界のトップアスリートの場合に心拍数が上がった時に1回の拍動の血流量が上がり続けたという報告もあります。ですが一般ランナーレベルの場合はダニエルズ方式で練習していて問題なく記録の向上が狙えるでしょう。

毛細血管新生の促進

ランニングをすると、ランニングに必要な筋肉に酸素を送る毛細血管が増えます。
これは、筋繊維に刺激を与えた時間が長ければ長いほど効果が大きくなります。
よって、長時間継続が可能なEランニングは毛細血管新生の促進に適しています。

Eランニングはどれくらい実施する?

ランニングは30分以上継続すると、練習効果が大きくなります。
なので、まずは30分以上継続することを目指しましょう。

ただし、1回あたりの走行距離は、週間走行距離の25%(週64km以下の場合は30%)にとどめたほうが良いです。
耐性ができていないのにいきなり長い距離を走ってしまうと故障のリスクが上がる

  • 月間100km(週間22km)程度走る人⇨6.6km
  • 月間200km(週間45km)程度走る人⇨13.5km
  • 月間300km(週間70km)程度走る人⇨17.5km

マラソン練習でよく言われる『30km走』を安全にこなすためには月間500km近く走れていないといけないということになりますね…

また、『時間的な上限として2時間半までにとどめたほうが良い』ともされています。
週間走行距離の25%(週64km以下の場合は30%)か2時間半、少ない方を上限としましょう!

Eランニングはいつ実施する?

ほぼ常時です

ポイント練習の日のウォームアップやクールダウン、インターバルのつなぎ、ポイント練習の翌日など、積極的に取り入れていきましょう!

VDOTからのEランニングペースを計算

先ほどのVDOTの項目で計算した結果を参考にペースを決めましょう!
をいくつか例を挙げると、

  • サブ4   :6分13秒~6分35秒(本では6分03秒~6分46秒)
  • サブ3.5:5分31秒~5分51秒(本では5分23秒~6分03秒)
  • サブ3   :4分48秒~5分6秒(本では4分38秒~5分14秒)

本(第三版)に乗っているペースのほうが少し範囲が広めですね!
また、あくまで『現在の実力』に対してペースを決めるべきであって、目標レースのペースで決めるべきではありません。

ダニエルズ式のマラソンペースランニング(Mランニング)とは?

ダニエルズ式のマラソンランニング

その名の通り、マラソンのレースペースでランニングをします。(最大心拍数の80~89%程度になります。最大心拍数が180の場合、144~160程度)
この練習は心拍数を基準というより、『今の走力でフルマラソンを走った時のペース』で実施することになります。
『目標とするペース』ではないことに注意を!

Mランニングの目的

以下の目的で実施します。

  1. 実際のレースペースに慣れる
  2. マラソンペースでの給水に慣れる
  3. 自信をつける

実際のレースペースに慣れる

マラソンではペースを上下させるとそれだけ体力のロスに繋がります。
時計を見るのですら体力のロスに繋がるので、理想を言えば時計も極力見ずにペースを維持できるとベストです。
そこで、練習でレースペースに慣れ、どれくらいの速さで景色が流れていくかなど感覚を掴んでおきましょう。

ポイント!
『走った感覚』でペースを覚えるとペース時は疲労が抜けていることや興奮していることからオーバーペースになりがちです。 『視覚的にどれくらいの速さで景色が流れていくか』の感覚もつかめるようになると良いです。

マラソンペースでの給水に慣れる

大会では給水やジェルの補給が必須になります。
ある程度慣れておかないと、水分が全然摂取できなかったり、むせたりお腹が痛くなったりしてペースダウンというトラブルに繋がりかねません。
こちらも練習から慣れておきましょう。

走りながら給水だと、外を走っている時はなかなか練習しにくいです。
そんな時はトレッドミルの活用もおすすめです!

自信をつける

普段練習で走れているペースなら本番でも自信を持って走れます。
逆に言えば、練習で走れていないペースで本番に突っ込むべきではありません

実は生理的な効果はEランニングと同じ

上記の目的でも、Mランニングは精神的なものや慣れとなっています。
実は体に与える練習効果としてはEランニングと変わりません
(1回の拍動での血流量の上昇、毛細血管新生の向上)

なので、マラソンに挑戦する時期以外はメリットの少ない練習と言えます。
また、トライアスロンをやっていても、マラソンペースでレースを走らないならメリットが少ないでしょう。

Mランニングはどれくらいの距離を実施する?

練習1回あたりの走行距離は、週間走行距離の20%か29km以下にとどめましょう。

  • 月間100km(週間22km)程度走る人⇨4.4km
  • 月間200km(週間45km)程度走る人⇨9km
  • 月間300km(週間70km)程度走る人⇨14km

(実際はこのMランニングの前後にEランニングでアップやダウンを行います)

マラソン練習でよく言われる『30km走』ですが、Mランニングはそもそも上限が29kmとなっています。

本番2~3週間前にレースペースで30km走をやろうとする人をよく見かけますが、レースペースでそんなに長い距離を走るのは練習としての効果よりも怪我のリスク・リカバリーに時間がかかりすぎるなどデメリットが大きいと言えるでしょう。

Mランニングはどんな人が実施する?

生理的な効果がEランニングと変わらないことから、トラック競技を中心にしている人やトライアスロンのショートレースがメインの人など、マラソンに出ない人はあまりメリットがありません。
初心者の場合はEランニングをメインにして大会の2ヶ月前くらいから取り入れ、ある程度走り込んでいるマラソンランナーの場合は常時取り入れても良いでしょう。

ダニエルズ式の閾値ランニング(Tランニング)とは? 

最大心拍数の88~92%程度で実施するランニングです。
(最大心拍数が180の場合、158~166程度)
おそらく、ハーフマラソンのレースペースより少し速いくらいになるかと思います。

比較的きつくはなっていますが、練習なら20~30分、休養をとってピーキングしたレースなら60分程度は維持できるペースになります。
一般には乳酸閾値であることからLT(Lactate Threshold)という言葉のほうが馴染みがあるかもしれません。

Tランニングの目的

血中の乳酸を除去し十分処理できる濃度に抑える能力を鍛えます。

簡単に言えば、少し速いペースで維持できる時間を伸ばす、もしくは30分~60分維持できるペースを速くするためのトレーニングです。

Tランニングの練習1『テンポ走』

20分間程度、Tペースで走り続けます。
ハーフマラソン程度のペースなので、20分ならそれほどきつくないはずなのですが…夏の暑い日などに実施するとかなりキツいです。笑

もう1つのクルーズインターバルとの違いは、『比較的キツいペースを維持する自信が付きやすい』とのことです。
精神面なんですね…

Tランニングの練習2『クルーズインターバル』

こちらはTペースランニングを短い休憩をはさみながら何本か繰り返します。
休憩を挟むことで、テンポ走よりも長い時間の閾値強度の刺激をかけることができます。

休憩を挟んでいるからと言って、テンポ走より速く走る必要はありません。
速いペースはインターバルの日まで取っておきましょう。笑

走行時間と休憩時間の比は5:1程度が推奨されています。

例)1.6kmのTランニング×5本(レスト1分)、3.2kmのTランニング×3本(レスト2分)

Tランニングの練習3『マラソン対策』

Mランニング中にTランニングを取り入れることもおすすめされています。これに慣れておくと、風やアップダウンによるペースの変化にも対応できるようになります。

例)M:12.8km→T:1.6km→M:6.4km→T:1.6km→M:1.6km

ただしこのボリュームが出来るのは月間400kmくらい走り込んでいる人になります。
個人の練習量に応じてMランニングを減らすなど調整しましょう!

Tランニングはどれくらい実施する?

練習1回あたりの走行距離は、週間走行距離の10%を超えないことが望ましいです。

  • 月間100km(週間22km)程度走る人⇨2.2km
  • 月間200km(週間45km)程度走る人⇨4.5km
  • 月間300km(週間70km)程度走る人⇨7km

一方で『持続的なテンポ走を20分できるのなら、クルーズインターバルにした時は合計30分は走りたい』とも記載されています。

同じ『月間200km』の人でも年齢・経験・レベルによって閾値ランニングの持続時間は異なると思います。
10%にはこだわり過ぎず、各自の適切な距離を探っていくのがおすすめです!

Tランニングはどのような人が実施する?

Mランニングがマラソンランナーだけに推奨されていたのに対し、Tランニングは1500m・5000m・10000mのトラックランナーからハーフマラソン、フルマラソンまで幅広い人に取り入れることが推奨されています。

マラソン対策の場合、

  1. Mランニングだけの日
  2. Tランニングだけの日
  3. Mランニングの中にTランニングを取り入れる日

など、練習に目的を持ってうまく組み合わせていきましょう。

VDOTからのTランニングペースを計算

いくつか例を挙げると、

  • サブ4:5分11秒
  • サブ3.5:4分35秒
  • サブ3:3分59秒

多少フルが得意・ハーフが得意といった差があるかとは思いますが、だいたいハーフマラソンより少し速いくらいになるのではないでしょうか?

ダニエルズ式のインターバルトレーニング(Iトレーニング)とは?

トラックトレーニング

最大心拍数の97.5~100%程度で実施するランニングです。
(最大心拍数が180の場合、175~180程度)
心拍数は体調や気温によっても大きくずれるので、VDOTにて計算したペースで実施しましょう。
(5kmのレースペースに近い値になるかと思います。)

Iトレーニングの目的

有酸素能力(Vo2MAX)の向上です。
ある身体機能を向上させるにはその機能に負荷をかけることが最も良いため、Iトレーニングでは有酸素能力の限界かそれに極めて近いところに設定する必要があります。

Iトレーニングの練習

完全に休息した状態からVo2MAXに到達するまで90~120秒程かかります。
一方で、1本あたりの時間が5分を超えると負荷が強すぎてしまいます。
そこで、本書では3分~5分の疾走を繰り返すのが適正であるとされています。

ここで気をつけることは、Iペースを上回る速さで1本目を走ってもVo2MAXに達している時間は殆ど変わらないということです。
逆に、それによって3本目、4本目が設定ペースより遅くなってしまった場合、それらは狙った負荷がかけれなかったということになります。

ダニエルズ式の根本にあるのは『適切な負荷を適切な量かけること』です。
5本走るなら5本目まで狙った負荷をかけれるようにがんばりましょう!

Iトレーニングはどれくらい実施する?

練習1回あたりの走行距離は、10kmか週間走行距離の8%のどちらか短い方です。

  • 月間200km(週間45km)程度走る人⇨3.6km
  • 月間300km(週間70km)程度走る人⇨5.6km

多くの人は800m×5本や1km×5本程度になるのではないでしょうか?

月間100kmの場合は1.8kmしか出来ないことになってしまうのですが、初心者で月間100kmの場合はIトレーニングを取り入れる必要はないと思います。
一方、『トライアスロンでバイク・スイムも練習しているのでランは100kmしか確保できない』という場合は、各自のレベルに合わせて適正な量を探っていく必要があるかと思います。

Iトレーニングはどのような人が実施する?

Mランニングがマラソンランナーだけに推奨されていたのに対し、IトレーニングはTランニングと同様に800m~10000mのトラックランナーからハーフマラソン、フルマラソンまで幅広い人に取り入れることが推奨されています。
マラソン対策の場合、レースの数ヶ月前にIトレーニングでVo2MAXを鍛えておき、レースが近づくにつれてMランニング・Tランニングに移行していく形になります。

VDOTからのIランニングペースを計算

いくつか例を挙げると、

  • サブ4:4分46秒
  • サブ3.5:4分13秒
  • サブ3:3分40秒

多少マラソンが得意・短い距離が得意といった差があるかとは思いますが、だいたい5kmのレースペースくらいになるのではないでしょうか?

逆に言うと、普段マラソンをしていて初めて5kmのタイムを測る時は、このペースを目標にして余裕があったらラスト1kmであげると良いでしょう。

ダニエルズ式のレペティショントレーニング(Rトレーニング)とは?

Rトレーニングのペースでランニングをすると、通常は2分以下で最大心拍数に達します。
心拍数を基準にするよりも、VDOTにて計算しましょう。

Rトレーニングの目的

無酸素性作業能、スピード、ランニングエコノミーの向上です。
Iトレーニングよりも速いペースですが、目的は心肺能力の向上ではありません
もがくこと無く、正しい走動作で速く走ることが必要です。

Rトレーニングの練習

Rランニングを行う時は、Rランニングの2~3倍の時間を休む、もしくはRランニングを同じ距離をイージージョグでつなぎます。
練習のパターンとしては、比較的容易なものとして以下のようになります。

  1. (R:200m+ジョグ200m)×n本
  2. (R:200m+ジョグ200m)×n本 +(R:400m+ジョグ400m)×n本
  3. (R:200m+ジョグ200m+R:200m+ジョグ200m+R:400m+ジョグ400m)×nセット
  4. (R:400m+ジョグ400m)×n本 

もっと上級向けのメニューは本書をご覧ください。(見なくても上記の前提に従っていけばある程度組めるとは思いますが…)
つなぎのジョグが速くなって、Rランニングで藻掻く・速い動きができないということがないように気をつけましょう。
特に自分より速い人と一緒に練習すると、『ランで遅れる→ジョグで追いつこうとする→十分に休めない→更に遅くなる』という悪循環が発生しがちです。
nの本数は次に記載する1日あたりの上限距離から決めます。

Rトレーニングはどれくらい実施する?

練習1回あたりの走行距離は、8kmか週間走行距離の5%のどちらか短い方です。

  • 月間200km(週間45km)程度走る人⇨2.2km
  • 月間300km(週間70km)程度走る人⇨3.5km

上記の場合は200m×10や400m×5(2km)、(200m×8 +400m×4)(3.2km)程度になるかと思います。
意外なほど少ないのではないでしょうか?
その分、1本1本を集中して正しいフォームで速く走りましょう

Rトレーニングはどのような人が実施する?

Mランニングがマラソンランナーだけに推奨されていたのに対し、RトレーニングはTランニングと同様に800m~10000mのトラックランナーからハーフマラソン、フルマラソンまで幅広い人に取り入れることが推奨されています。
マラソン対策の場合、まずRランニングでスピードや経済的な走りを身に着け、IランニングでVo2MAXを鍛えて、レースが近づくにつれてMランニング・Tランニングに移行していく形になります。

VDOTからのTランニングペースを計算

いくつか例を挙げると、

  • サブ4:4分31秒
  • サブ3.5:3分58秒
  • サブ3:3分25秒

個人差はありますが、だいたい1500mのレースペースに近くなるかと思います。
上記のペースで、藻掻くことなくきれいなフォームで走りましょう!

ダニエルズ式の期分け(ピリオダイゼーション)

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ここまで読んでいただいた皆さん、お疲れ様です。
いよいよ『練習の組み立て方』です。
ここまできちんと理解しても、ゲームで言えば武器・兜・鎧・盾を購入しただけに過ぎません

それらは装備して、使いこなしてこそ価値が出るものですよね?
いろいろな人がマラソンのトレーニング本を出していますが、練習内容以上に組み立て方が重要と言っても過言ではありません。

組み立てる時の考え方を知り、各自のレベルや練習時間・練習環境にあったメニューを組み立てましょう!

4つのフェーズ

ダニエルズ式では4つのフェーズに分けてトレーニング計画を組み立てています。
俗に言う『期分け』ですね!

  1. 【Eのみ】基礎の構築と怪我の予防
  2. 【E+R】スピードと経済性の向上
  3. 【E+R+I・T】有酸素能力の向上
  4. 【E+R+I・T・M】各種目に合わせピークに持っていく

しかし、必ずしもフェーズ1から全てに実施する必要はありません。

  • 6週間以上定期的にトレーニングを行っているならフェーズ1を省略してもよい
  • 4週間程度強度の高いトレーニングを中断無く継続している場合はフェーズ2も省略しても良い

としています。

個人的には、強度の高いトレーニングをしている人でも、スピードやエコノミーの向上を練習に取り入れていない人は2から実施するほうがおすすめです!

フェーズ1【Eのみ】基礎の構築と怪我の予防

ほぼ全てEランニングのみを行います。
その中で数本のウィンドスプリントをいれたり、練習後に軽いレジスタンストレーニングやダイナミックストレッチングを実施します。

また、週に1回程度Eランニングのペースで長めに走る(Long:Lランニング)こともおすすめされています。

フェーズ2:【E+R】スピードと経済性の向上

新しいフェーズに映る時は、新しい刺激は1つに絞ります

EからRに移行すると新しい刺激はスピードのみです。
一方、EからIに移るとスピードと有酸素の2つが新しい刺激になってしまいます。
Rを実施してからIに移れば、Iでの新しい刺激は有酸素のみになります(Rの方がIより速いため)

なので、まずはRを追加することが推奨されています。

このフェーズではRを週2回取り入れ、間にはEランニングのみの日を2日挟んで回復させます。
また、週に1回のLランニングの継続も推奨されています。

フェーズ3:【E+R+I・T】有酸素能力の向上

ここが最もキツいフェーズになることが多いです。

基本的には『1週間の間にLランニング1回とポイント練習2回』のリズムは同じですが、種目ごとに内容も変化させます。

短い距離の選手:スピードが重要なのでRを1日、Iを1日
長い距離の選手:Iを2日、Iを1日とTを1日、Iを1日とT+Rを1日など

長い距離の選手でも時々Rを組み込むことで、フェーズ2でつけた力を落とさないようにしましょう。

フェーズ4:【E+R+I・T・M】各種目に合わせピークに持っていく

このフェーズでも種目ごとに差が出ますが、Tランニングを増やすことが推奨されています。

短い距離の選手の場合は1回のポイント練習の中でRとTを組み込みましょう。
長い距離が専門の場合はIトレーニングを実施せずTトレーニングに集中し、練習の最後にRを少し(200m×4~6本程度)実施しましょう。

※ただしレースの中で有酸素性システムを最大限追い込むような状況になる場合はIトレーニングも継続したほうが良いです。

各フェーズの長さは?

推奨される長さは6週間×4で24週間かけることです。

もちろんレースまでそれほど期間がない場合もあるでしょう。
その場合は『レースに影響がないところから削る』が基本です。

20週の場合
→①を4週、②を6週、③を6週、④を4週

16週の場合
→①を4週、②を3週、③を5週、④を4週

本書には他のパターンも細かく記載されているので参考にしてみてください。

具体例も多数あります

ちなみに本書には様々な具体例が記載されています!
まずは基本パターンとしレベルごとに4つ。

  1. 初心者用の16週プログラム
  2. 中級者用の16週プログラム
  3. 上級者用の16週プログラム
  4. エリート用の16週プログラム

種目別にも、800m、1500m~3000m、5km~10km、クロカン、ハーフマラソンのメニューが有り、更にマラソンは第3版で大幅ボリュームアップして6パターンものプログラム例が記載されています!
レースに出ない距離も一通り読んでみると、様々な練習計画の考え方が記載されていて非常に勉強になるので、ぜひ一度全体を通して読んでみてください!

これらから応用も可能

これらを学んでくると、インターバルの目的は『有酸素能力の向上』であって、ラン特有の筋力強化や毛細血管の発達は他のトレーニングで実施しているということが分かります。

この有酸素能力の向上は、ランに限ったことではなく、スイムやバイクでも鍛えることが出来ますよね?

ということは、トライアスロンをやっている場合はバイクで有酸素能力向上のインターバルをやっているならランは他のトレーニングに時間をかけてもいいし、ランナーで故障している時もバイクやスイムで心肺能力を維持・向上するトレーニングが出来るということです。

逆に、ランナーの人が故障時にバイク練習を取り入れた時、バイク特有の筋力や毛細血管を発達させる強度の練習はあまり意味がなくランでも使える心肺能力を鍛えるためのインターバルを実施したほうが良い、などと計画ができるということになります。

これは一例ですが、各自の鍛えたい能力・目的に応じてトレーニング計画を組むことで、同じ時間でも効率的にレベルアップできます。
トレーニングの目的を理解して計画を立てましょう!

まとめ

以上、長くなってしまいましたがダニエルズ式マラソントレーニングの説明でした。

  1. どのような目的で練習するか
  2. どのような強度で実施するか
  3. どの程度の量を走るか
  4. どのような順番で練習を計画するか

など、非常に具体的に示されていて分り易かったかと思います!
非常にオススメの一冊なので、ランニングのトレーニングをしている方はぜひ読んでみてください!

メモリも付いているので走る時にスマホなしでも音楽が聞けます!

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